ホーム > 院長のみみ便り > アルゴンプラズマ療法について
アルゴンプラズマ療法は、正しくはアルゴンプラズマ凝固装置を用いた下鼻甲介粘膜焼灼術と言います。高電圧高周波電流によりアルゴンガスをプラズマ化し、下鼻甲介粘膜を凝固させることにより鼻粘膜のアレルギー反応を抑制させる治療法です。アルゴンプラズマビームにより鼻粘膜を面で焼灼するため、レーザー治療に比べて手術時間が短いのが特徴です。
この手術療法は、アレルギー性鼻炎の症状であるくしゃみ・鼻水・鼻づまりに有効です。特に鼻づまりに対しては80%以上の効果があると言われています。局所麻酔薬を浸透させたガーゼを約30分程度鼻内に挿入して麻酔をします。手術は、片側で1~2分で終了します。元来止血のための機器ですので出血はほとんど無く、痛みを感じることもほとんどありません。日帰り手術が可能で同日に両側行います。術後約2週間は鼻内にかさぶたのようなものが付着しますので一過性に鼻づまりが強く感じられますが、徐々に鼻づまりは改善していきます。効果は個人差があるものの数ヶ月から2年程度持続すると言われており、その後徐々に効果が薄れていきます。
この治療法は、
1.色々な薬物療法をしてみたが効果がなかった。
2.何らかの事情で薬が飲めない。
などの方に適しています。前述しましたように鼻づまりに対してはかなり有効ですが、鼻水に対してはやや効果が低いので手術をしても薬物投与が必要になることがあります。また、心臓ペースメーカーを装着されている方はこの治療法を受けることはできません。妊娠中の方は当院では手術をしておりませんが、これから妊娠を予定されている方には妊娠される前までに施行が可能です。小学生にはお勧めしておりません。
花粉症の治療としても有効です。但し、効果は鼻症状に対してのみですので、眼症状などには無効です。できれば花粉飛散開始までに受けられることをお勧めします。
このアルゴンプラズマ療法はアレルギー性鼻炎・花粉症の手術療法として有効ですが、この方法だけで全ての症状が改善されるわけではありません。当院では、アレルギー性鼻炎・花粉症の治療法の選択枝の一つとして考えており、それぞれの患者様にとって適した治療法かどうか十分検討した上で施行しています。